「で、これ誰が得するの?」——会議室で部長にそう聞かれた瞬間、頭の中が真っ白になりました。3週間かけて作った40ページの企画書が、たった一言で粉砕されたあの日のことを、私は今でも覚えています。当時の私の企画書は、ほぼ100%却下されていました。「ロジックが弱い」「数字の根拠は?」「で、競合は?」——どの会議でも同じ指摘を受けて、毎月のように作り直す日々。同期がスイスイ企画を通していくのを横目で見ながら、「自分はこの仕事に向いてないのかも」と本気で悩んでいました。
そんな私が、1年後にはマーケティング本部長賞をもらうほど企画書を通せるようになりました。経営層を含む役員会議でも一発承認を取れるレベルです。何を変えたかと言えば、企画書の「型」と「ストーリー設計」を覚えただけ。センスや才能の問題ではなく、「通る企画書には共通の構造がある」という事実に気づいたのです。今日はその10個の型を、私の失敗談と成功例を交えて全部公開します。



- 会議で却下され続けた私が「経営層も承認する企画書」を書けるようになった10の型(実体験ベース)
- 結論ファースト・課題ドリブン・数字の見せ方——今日から使える具体テクニック
- 社内プレゼン・役員会議・クライアント提案、シーン別の書き分け
- 「却下される企画書」の人が必ずやっている5つの致命的失敗パターン
- よくある質問(FAQ)8問
- 企画書作成を加速するおすすめアイテム(Amazon厳選)
■目次
- 企画書を書く前と書いた後:「却下率80%」から「採用率90%」への大逆転
- なぜ「通る企画書」を書ける人ほど評価されるのか
- 【方法1】1枚目に「結論・投資・効果」を全部入れる
- 【方法2】課題ドリブンで書く——「やりたいこと」より「困ってること」
- 【方法3】数字は「自社の売上への寄与」で示す
- 【方法4】1スライド1メッセージで「読ませる」をやめる
- 【方法5】比較表で「優位性」を一発で見せる
- 【方法6】リスクと対策を「先回り」で書く
- 【方法7】ストーリーラインで「読みたくなる」設計にする
- 【方法8】プレゼンは「3分で全体」「10分で詳細」の2段構え
- 【方法9】デザインは「整える」だけで十分
- 【方法10】作業環境を整えて「書き直す余裕」を作る
- シーン別実例:社内プレゼン・役員会議・クライアント提案
- 失敗パターン:企画書が通らない人がやっている5つのNG
- 1ヶ月で企画書スキルを上げる「4週プログラム」
- FAQ:通る企画書の書き方でよくある質問
- 暮らしに役立つおすすめアイテム
- まとめ:通る企画書は「センス」ではなく「型」と「訓練」
企画書を書く前と書いた後:「却下率80%」から「採用率90%」への大逆転

精神論ではなく、「実際に何がどれだけ変わったか」を数字で正直に書きます。同じ職場・同じ業界・同じ私で起きた変化です。企画書の数を増やしたわけでもなく、ただ「型」を変えただけ。

企画書の型を入れる前(ビフォー):アイデアは良くても通らなかった
| 場面 | やっていたこと | 結果(数字) |
|---|---|---|
| 企画書の枚数 | 情報を全部盛り込む | 平均40ページ |
| 構成 | 背景→分析→提案→詳細 | 結論が後半 |
| 数字 | 市場規模など一般データのみ | 自社売上への影響不明 |
| 承認率 | 毎週1〜2本提出 | 却下率80% |
| 差し戻し回数 | 指摘されるたびに修正 | 平均5回 |


企画書の型を入れた後(アフター):一発承認が当たり前になった
| 場面 | いまやっていること | 結果(数字) |
|---|---|---|
| 企画書の枚数 | 1スライド1メッセージで絞る | 平均8〜12ページ |
| 構成 | 結論→根拠→投資対効果 | 1枚目に結論 |
| 数字 | 自社売上への寄与で示す | 投資回収◯ヶ月と明記 |
| 承認率 | 月3〜4本提出 | 採用率90% |
| 差し戻し回数 | 事前にFAQも準備 | 平均0〜1回 |



なぜ「通る企画書」を書ける人ほど評価されるのか

そもそも、なぜ企画書のスキルが評価に直結するのか。私の体感で出した結論を3つ書きます。

理由1:意思決定スピードが上がるから
結論が冒頭にある企画書は、上司や役員が「やる or やらない」を3分で判断できます。逆に結論が末尾の企画書は、最後まで読まないと判断できない。これは相手の時間を10倍奪うことになります。
たとえば、1枚目に「結論:本案A案で投資300万円、回収6ヶ月」と書けば、役員は10秒で論点を把握できます。これを「市場背景はこうで、競合状況はこうで、顧客動向はこうで、ですので私はA案がいいかと思いますが、ご検討よろしくお願いいたします」と書くと、役員は10分使ってからやっと結論にたどり着く。決裁者の時間は1秒数千円とも言われます。この差は致命的です。

理由2:信頼残高が貯まるから
「あの人の企画書、毎回ロジックがしっかりしてる」と思われると、次の企画書も優先的に読まれます。逆に「またあの人の企画、長くて読むの面倒」と思われた瞬間、後回しにされる。これが半年積み重なると、決定的な差になります。
私は以前、毎月のように分厚い企画書を量産する人で「重要案件じゃなかったら後で読もう」と思われていました。それが今では「3分で要点が分かる人」と認識されていて、「とりあえず聞いてみよう」リストに入っています。この差は数字には表れにくいですが、確実に評価とキャリアに響きます。

理由3:自分の頭が整理されるから
意外と気づかれないメリットですが、通る企画書を書くプロセス自体が「思考の整理」になります。「結論はなんだっけ?」「投資対効果は?」「想定リスクは?」と詰めないと書けないので、書き終わったとき自分の中で論点がクリアになっている。
私は企画書を書く時間を「アイデアを思いつく時間」と切り分けるのをやめました。「書く=考える」と統合してから、会議での発言も明確になり、判断スピードも上がりました。企画書を書く力=思考力そのもの、というのを実感しています。

【方法1】1枚目に「結論・投資・効果」を全部入れる

10個の中で、これが最重要。これだけ徹底すれば企画書通過率は5割上がります。

1枚目に書くべき4要素
1枚目には、判断者が3分で意思決定できる情報をすべて入れます。私が使うテンプレは下記4つです。
(1)結論:何をやるのか(1文)
(2)目的:なぜやるのか(売上◯◯円増・コスト◯◯円減など数字で)
(3)投資:いくら必要か(金額・人員・期間)
(4)効果:いつまでにいくら回収できるか(ROI・回収期間)
この4要素が1枚目に揃っていれば、判断者は「Yes/No/もう少し情報」の3択を即決できます。私の経験上、1枚目に投資と効果がない企画書は、ほぼ100%差し戻しを食らいます。
使う前:結論が10枚目に書かれた企画書
1枚目:タイトル「新規事業企画書」
2枚目:市場背景(グラフ多数)
3〜6枚目:競合分析
7〜9枚目:顧客インタビュー結果
10枚目:ようやく「提案内容」が登場
11〜40枚目:詳細施策・スケジュール・体制・リスク…

使った後:1枚目で3分判断できる企画書
1枚目:
【結論】サブスク型サービスを2026Q3に立ち上げ
【目的】既存顧客のリピート購入率を15%→30%に倍増
【投資】開発費500万円・人員2名・期間4ヶ月
【効果】月次売上+800万円・投資回収7ヶ月2〜8枚目:根拠・実行計画・リスク対策


【方法2】課題ドリブンで書く——「やりたいこと」より「困ってること」

1枚目の次に効くのが「課題ドリブン」。これも、頭で分かってても実際できる人は少ないです。

なぜ「課題」から始めるべきなのか
人は「やりたいこと」よりも「困ってる問題が解決すること」のほうが共感します。「新しいサービスを作りたい」より「顧客が困ってる○○問題を解決する」のほうが、判断者は前のめりになる。
具体的なやり方は、企画書の2枚目に「課題定義」を置くだけ。「現状こうなっている→このままだとこうなる(放置リスク)→だからこの企画が必要」という流れを作ります。これがあると、企画への必然性が3倍上がります。
使う前:「やりたいから」スタートの企画書
私たちは新しいサブスクサービスを作りたいと考えています。市場は伸びており、競合も参入しています。当社も乗り遅れる前に着手すべきです。
使った後:「課題から」スタートの企画書
【現状の課題】
当社の既存顧客のリピート購入率は15%で、業界平均30%の半分にとどまっています。【放置リスク】
このまま放置すると、年間1.2億円の機会損失が継続。さらに、競合A社のサブスク展開で新規流入も20%減速見込み。【だからこの企画】
サブスク型サービスを立ち上げ、リピート率を業界平均まで引き上げる。


放置リスクは「機会損失」で語る
放置リスクを書くときのコツは、「やらないと失うもの」を数字で示すこと。「業界トレンドに遅れる」のような抽象表現ではなく「年間1.2億円の機会損失」「市場シェア5%減」のような具体数字に落とします。
判断者は「やる理由」より「やらないリスク」のほうが響きます。人間心理学的に「損失回避」のほうが強い動機になるからです。これは私が役員プレゼンを何十回もやった経験から実感しています。
【方法3】数字は「自社の売上への寄与」で示す

企画書で数字を使う人は多い。しかし「市場規模100億円」のような一般データだけ並べる人がほとんどです。これだと判断者は動きません。本当に効くのは「自社売上への寄与」です。

3階層で数字を組み立てる
私が企画書で必ず使う数字の3階層構造は下記です。
| 階層 | 何を示すか | 具体例 |
|---|---|---|
| マクロ | 市場規模・成長率 | 市場100億円・年率15%成長 |
| ミドル | 自社が取りに行くシェア | 3年で市場の5%獲得 |
| ミクロ | 自社売上・利益への影響 | 年間5億円増・営業利益7000万円 |


数字の根拠を「3つの計算式」で示す
数字を出すときは「どう計算したか」を必ず添えます。私が使う型は3つの計算式に分解する方法です。たとえば「年間5億円増」と書くなら、下記のように分解します。
ターゲット顧客数 50,000人
× 加入率 20% = 10,000人
× 月額単価 4,200円
× 12ヶ月 = 5億400万円
これだけで「ふんわり感」が消えます。判断者は「どの数字を疑えばいいか」が明確になり、議論も建設的になる。「市場規模から逆算しました」では誰も納得しません。
【方法4】1スライド1メッセージで「読ませる」をやめる

企画書を「読ませる」発想だと負けます。判断者は最低限の視線移動で全体像を掴みたい。だから「1スライドにメッセージ1つ」が鉄則です。

スライド構成の鉄則
各スライドの構成は下記の3要素に統一すると、読みやすさが激変します。
(1)スライドタイトル=結論(「サブスク導入で年間5億円増」)
(2)本文=根拠の図表またはテキスト1個
(3)末尾=次のアクション or 次スライドへのつなぎ
使う前:1枚に5つの論点を詰め込んだスライド
タイトル:サブスクサービス概要
本文:
・市場規模100億円
・競合A社の動向
・自社の強み
・想定顧客像
・料金プランの方針
・スケジュール
使った後:1枚に1論点だけ
タイトル:既存顧客の20%が「定期利用」を希望している
本文:アンケート調査(n=1,200)で「定期サービスがあれば加入したい」と回答した割合のグラフ
末尾:この20%が次スライドの試算根拠


【方法5】比較表で「優位性」を一発で見せる

企画書には「複数案を比較した結果、これを選んだ」というロジックが必須です。文章で語るより、表でズバッと示すほうが10倍説得力があります。

比較表で示すべき3軸
企画書の比較表で必ず入れる3軸は「投資・効果・リスク」。これを並べると、なぜA案を選んだのかが論理的に説明できます。
| 案 | 投資 | 効果(年間) | リスク | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| A案:サブスク | 500万円 | +5億円 | 解約率次第 | ◎推奨 |
| B案:単発購入クーポン | 200万円 | +1億円 | 低い | △ |
| C案:既存サービス強化 | 100万円 | +3000万円 | なし | △ |


比較表の落とし穴:都合のいい案だけ並べない
注意点として「比較表に出てくる他案が明らかに劣ってる」と判断者にバレます。「A案を通すために、わざと弱い案を並べた」と思われたら一発でアウト。
私はわざと「A案より投資が安いB案」「リスクが低いC案」を入れて、それでも総合的にA案がベストという見せ方をしています。これが判断者の信頼を得るコツです。
【方法6】リスクと対策を「先回り」で書く

多くの企画書が落ちる理由は「リスクを書いてない」または「リスクを軽く扱ってる」です。判断者は経験上「光だけの企画」は信用しません。先にリスクを認めて、対策まで書くと信頼度が跳ね上がります。

リスクの3類型を必ず書く
企画書に書くべきリスクは下記3つです。それぞれに対策をセットで書きます。
| リスク種別 | 想定内容 | 対策 |
|---|---|---|
| 市場リスク | 需要が想定より低い | 先行モニター300名で検証 |
| 実行リスク | 開発遅延 | MVP→拡張の2段階リリース |
| 財務リスク | 初期投資の回収難 | 月次でKPI見直し・撤退基準明記 |


撤退基準を必ず添える
リスク対策の中で最も効くのが「撤退基準」です。「○ヶ月後に売上◯円未満なら撤退する」とハッキリ書く。これがあると、判断者は「失敗しても被害が限定的だな」と思える。逆にこれがないと「ズルズル続いて損失拡大」を疑われて却下されます。
私の経験上、撤退基準を書いた企画書の通過率は、書かなかった企画書の3倍以上でした。これは本当に効きます。
【方法7】ストーリーラインで「読みたくなる」設計にする

企画書も結局は「読み物」です。同じ情報でも、ストーリーの組み方ひとつで「読みたくなる」「読みたくない」が分かれます。

通る企画書の鉄板ストーリー
私が使う鉄板の構成は下記7ステップです。これに沿って書くだけで、読み手は最後まで読み進めてくれます。
- 1枚目:エグゼクティブサマリー(結論+投資+効果)
- 2枚目:課題定義(現状と放置リスク)
- 3枚目:解決の方向性(全体像)
- 4枚目:具体施策(MVP)
- 5枚目:数字根拠(計算式の分解)
- 6枚目:複数案の比較表
- 7枚目:リスクと対策・撤退基準
多くても10枚以内。これ以上長いと判断者が疲れます。詳細は別添資料(APPENDIX)に逃がして、本編はストーリーに集中するのが基本です。
「物語のクライマックス」を1箇所作る
意外に思われるかもしれませんが、企画書にも「クライマックス」が必要です。私は3〜4枚目で「核心の数字」を見せて、判断者を「おっ」と思わせる設計にしています。
たとえば「リピート率15%→30%に倍増、年間1.2億円増」のような数字を最大化して見せるスライド。ここで判断者の感情が動けば、残りの実行計画は粛々と読んでくれます。


【方法8】プレゼンは「3分で全体」「10分で詳細」の2段構え

企画書を出すだけでなく、口頭プレゼンで補強する場面がほとんど。ここでも「型」があります。私は3分版と10分版を必ず両方用意します。

3分版・10分版・30分版の3段階
私が用意するプレゼン3段階の中身は下記です。
| 長さ | 内容 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 3分版 | 結論+投資+効果のみ | 立ち話・廊下プレゼン |
| 10分版 | 3分版+課題+リスク+対策 | 役員会議の冒頭枠 |
| 30分版 | 10分版+計算式+比較表+実行計画 | 正式提案・部内検討 |


「想定質問」を10個用意する
プレゼン中に想定外の質問が来て答えられないと、企画書全体の信頼が崩れます。私は提出前に「判断者がしそうな質問10個」を書き出して、それぞれの回答を準備します。
よく聞かれる質問は下記です。これを事前に潰しておくと、当日の質疑が圧倒的にスムーズになります。
- 「これ、競合A社がもう似たことやってない?」
- 「投資回収できない場合、誰が責任取るの?」
- 「人員2名って、誰のリソースを使うの?」
- 「他部署との連携は?」
- 「半年後にKPI未達なら撤退するの?」
- 「市場規模100億円って、どこのデータ?」
- 「既存事業とのカニバリは?」
- 「3年後の出口戦略は?」
- 「初年度赤字は前提?いつ黒字化?」
- 「PoC(実証実験)はやった?」
【方法9】デザインは「整える」だけで十分

企画書のデザインは凝らなくていいです。「整える」だけで十分通ります。むしろ凝りすぎると「内容より見た目に時間使った?」と疑われる。

整えるべき5つのポイント
私が必ず守るデザイン5原則は下記です。
(1)フォントは1〜2種類に統一(ゴシック+明朝など)
(2)色は3色まで(メイン+アクセント+ベース)
(3)余白を多めに取る(詰め込みすぎNG)
(4)文字サイズは18pt以上(役員は老眼の人が多い)
(5)図は左揃え・サイズ統一
役員向けの「老眼配慮」が地味に効く
意外と気づかない盲点ですが、役員クラスは50代以上が多く、小さい文字が見づらい人が多いです。フォントサイズ12ptで作った企画書を見せると「字が小さい」と内容を読む前に印象が悪くなる。
私は本文18pt以上、見出し24pt以上を徹底しています。これだけで「読みやすい」と褒められることが増えました。文字を大きくする=情報量を減らすと心配する人もいますが、判断者が読まないなら情報量はゼロと同じです。


【方法10】作業環境を整えて「書き直す余裕」を作る

意外に思われるかもしれませんが、作業環境は企画書の質に直結します。なぜなら、推敲する余裕は「速く書ける環境」から生まれるからです。

デュアルモニター+ノートPCスタンドが最強
私が現在使っている作業環境は下記です。これに変えてから、企画書の品質が体感で2倍上がりました。
- 外部モニター(27インチ)+ノートPC=デュアルディスプレイ
- ノートPCスタンドで目線を上げる(姿勢が良くなる=集中力UP)
- 外付けキーボード(打鍵が速くなる)
- 外付けマウス(細かい図形操作がラク)
特に「ノートPCを目線まで上げる」効果は絶大。背筋が伸びて思考もクリアになります。長時間の企画書作成は、姿勢を整えるだけで疲労感が劇的に減ります。


下書きはAIに任せる時代
最近は私もChatGPTやClaudeに「企画書のドラフトを作って」と頼むことが増えました。1枚目のエグゼクティブサマリーや、比較表の項目出しなど、定型的な部分はAIに任せて、自分は核心の数字とストーリーに集中する。
これで企画書1本にかかる時間が、以前の3日から1日に短縮できました。AIに任せる=手抜きではなく、自分の時間を価値の高い部分に集中投下する戦略です。
シーン別実例:社内プレゼン・役員会議・クライアント提案

ここまでの10個の型を、シーン別にどう使い分けるかをまとめます。

社内プレゼン(部内検討):実行可能性を最重視
部内の検討会議では「実際にやれるのか」が最大の論点。誰がやるか、いつまでに、どのリソースで——という実行計画を厚めに書きます。比較表より具体的なガントチャートのほうが効きます。
役員会議:投資対効果とリスクを最重視
役員クラスは「お金が回収できるか」が最大関心事。1枚目に「投資○○円・回収○ヶ月・ROI○倍」を必ず明記。そして撤退基準もセット。これがあれば一発承認の確率が3倍上がります。
クライアント提案:顧客課題への共感を最重視
外部クライアントへの提案では、「あなたの会社の課題をこう解決します」が最重視。クライアント固有のデータ(売上推移・顧客動向)を冒頭に置いて「ちゃんと調べてきた」感を出すと一気に距離が縮まります。
社外コンペ:差別化ポイントを最重視
複数社競合のコンペでは「他社と何が違うか」が最重要。1枚目に「当社だけが提供できる価値」を3点書く。これがないと「無難な提案」で埋もれます。

失敗パターン:企画書が通らない人がやっている5つのNG

10の型を学ぶ前に、まず「やってはいけない5つ」を頭に入れてください。これだけ避ければ、それだけで通過率が2倍上がります。

NG1:背景から書き始める
「業界の状況としては〜」「市場背景は〜」から始めるパターン。判断者は「で、結論は?」と思いながら長文を読まされる。最初に結論を置けば、背景は後付けで通ります。
NG2:「やりたい」が動機になっている
「新サービスを作りたい」「最新技術を試したい」が出発点だと、判断者から「で、誰が得するの?」と聞かれて沈黙する。動機は「課題」から始めるべき。
NG3:数字が一般データだけ
「市場100億円」「年率10%成長」だけで、自社の売上にどう響くかが書かれていないパターン。判断者は自社の財務しか見ていません。必ず「自社売上○○円増」まで落とし込む。
NG4:リスクを書かない・軽く扱う
「光だけ」の企画書は信用されません。判断者は経験上「うまく行くだけのストーリー」は疑います。リスクを認め、対策と撤退基準まで書くと信頼度が跳ね上がります。
NG5:40ページの長尺企画書
「網羅性を出したい」気持ちは分かりますが、判断者は最後まで読みません。本編10枚以内+APPENDIXに詳細という構成で十分。長すぎる企画書は「考えが整理されてない」のサインです。


1ヶ月で企画書スキルを上げる「4週プログラム」

10の型を一度に全部やろうとすると挫折します。私の経験では、1週ごとに2-3個ずつ習慣化していくと、1ヶ月で身につきます。

| 週 | 取り組むこと | 期待される変化 |
|---|---|---|
| 1週目 | 1枚目エグゼクティブサマリー | 判断スピードが上がる |
| 2週目 | 課題ドリブン+数字の3階層 | 「必然性」が伝わる |
| 3週目 | 比較表+リスク対策 | 信頼度が上がる |
| 4週目 | プレゼン+デザイン整える | 「通る人」認定 |
1日10分の「企画書見直しタイム」を作る
朝の出社直後または夜の退社前に「10分間、書いた企画書を見直す時間」を作ります。私は手帳に「企画書見直し10分」と書いて、強制的にやるようにしました。これだけで企画書の精度が一段上がります。
慣れてくると見直し速度も上がります。最初は30分かかっていたものが10分でできるようになり、それでも書く前より圧倒的に質が上がる。これが習慣化の力です。


FAQ:通る企画書の書き方でよくある質問
Q1:企画書が苦手です。センスがないと無理ですか?
結論、無理ではありません。私自身が「企画センスゼロ」と言われていたタイプですが、型を学んで1年で「通る人」になりました。企画書はセンスではなく型と訓練です。最初は不格好でも、エグゼクティブサマリーと課題ドリブンだけ徹底すれば1ヶ月で変わります。
Q2:数字の根拠がない企画はどう書けばいい?
「仮置きの数字」と明記して書きます。たとえば「ターゲット顧客数:5万人(仮:過去3年の同類サービス参考)」のように。完全にゼロで書くより、仮置きでも書くほうが議論が進みます。判断者も「ここを検証すれば判断できる」と分かるので、PoC(実証実験)への承認が取りやすいです。
Q3:上司から「もっと熱意を見せろ」と言われます
これは多くの場合「熱意=ストーリー性」を指しています。数字とロジックだけで書くと「冷たい」と感じる上司は一定数います。冒頭に「この顧客が今困っている」という具体エピソードを1つ入れる、解決後の世界を描写するなど、感情に訴える要素を1〜2箇所入れてみてください。
Q4:競合と差別化が見いだせません。どう書けば?
「同じ市場・同じ顧客」を狙うときの差別化は、「どう」ではなく「いつ・誰に」で出すのがコツ。たとえば「競合は20代向け、我々は30代女性に特化」のような時期・対象の絞り込み。完全な新規性が出ない時こそ、絞り込みで差別化します。
Q5:ChatGPTやAIに企画書を書かせるのはアリ?
下書きを作るのは大いにアリです。私もAIを下書きに使います。ただし最終的なアウトプットは自分の言葉に直す。AI任せだと「無難で刺さらない企画書」になりがちで、判断者にも「これAIだな」と気づかれます。AIには定型部分(タイトル・項目出し・比較表の項目)を任せて、ストーリーと核心の数字は自分で書くのが鉄則です。
Q6:企画書のページ数が膨らんでしまいます。減らすコツは?
「1スライド1メッセージ」を徹底するだけで半分以下になります。詳細はAPPENDIXに逃がして、本編は10枚以内に絞る。書いた後に「このスライド消したら判断者は困るか?」を1枚ずつ自問して、困らないなら消す。これを徹底すると劇的に減ります。
Q7:役員に「もっと先のことを考えろ」と言われます
これは「単年計画しか書いてない」可能性が高いです。役員は3〜5年の中長期視点で見ています。1年目の数字に加えて「3年後にこうなる」「5年後にこうなる」を1枚追加すると、視座が上がります。
Q8:企画書を提出した後、追加質問にどう対応すれば?
追加質問は「提案を深めるチャンス」と捉えます。すぐ回答できる質問はその場で、データが必要なものは「来週までに調査して回答します」と即答する。「持ち帰り検討」を多用すると評価が下がります。プレゼン前に想定質問10個を準備しておけば、ほとんど即答できるはずです。
暮らしに役立つおすすめアイテム
本記事で紹介した内容に関連する、暮らしを豊かにするおすすめアイテムをピックアップしました。
まとめ:通る企画書は「センス」ではなく「型」と「訓練」
会議で却下され続けた私が、1年で「経営層も納得する人」に変われた10の型を紹介してきました。最後に、特に効果が大きかった3つを再掲します。
(1)1枚目に「結論・投資・効果」を全部入れる
(2)課題ドリブンで書く(「やりたい」より「困ってる」)
(3)リスクと対策・撤退基準を必ず書く
この3つだけでも、1ヶ月で「通る確率」が体感2倍になります。残り7つの型は、慣れてから足していけばOK。完璧主義を捨てて、まず1つやってみる——それが上達の最短ルートです。



「通る企画書を書く」ことは、相手の意思決定を助ける=ビジネスパーソンとしての価値提供です。技術を超えて、人としての配慮の話。今日から1つでも始めれば、来月の自分は確実に違います。
関連記事:





























